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2017.08.25
Stingray(VRテンプレート)のコントローラ処理を調べてみる
(リンクとスポーン)
前々回、前回と続いてきた
StingrayVRテンプレートにおけるコントローラの実装調査ですが、
いよいよ今回で最後です。
最後ということで、キーになることも多いです。
ただし、ここで覚えることが
StingrayにおけるVR開発において最も重要なことになります。
最後はこの3つのグループになりますが、
実際は右2つのグループB,Cは左のグループAに繋がっているので、
大きな1つのグループと見ることができます。
一見ややこしいように見えますが、処理の内容自体はシンプルです。
※『link controllers』
画像内のグループAで、ここでの処理が終わると、
下で説明している2つのグループB,Cへと続きます。
①外部イベントの作成
ここの処理の始まりとなっているのは『External In Event』です。
このノードは独自にイベントを作ることができ、
外部からこのイベントが呼ばれた際に以後の処理が呼ばれるようになります。
(UnrealEngine4のカスタムイベントなどが近いです)
つまり、
『ここより後の処理はコントローラのユニットフロー単体では動作せず、
外部よりこのイベント(link_controller)が呼ばれた時にのみ実行される』
という事になります。
ちなみに、このVRテンプレートの場合、link_controllerの呼び出し元は
『steam_vr』という名前のLuaスクリプトになります。
それ以外でも『Level Unit』などのノードからも呼び出すことができます。
②ユニットとコントローラのリンク
続いては『SteamVR Link Node To Tracker』ノードです。
このノードは『Link to』に設定されたHMDやコントローラの位置に
引数に指定したユニットのメッシュをリンクさせる(くっつける)処理です。
これまで、何気なくVR画面でコントローラを動かしていましたが、
VR画面でコントローラが見えていたのはこの処理があったおかげだったのです。
この先ではグループB,グループCに処理が分かれますが、
『どちらかを行う』などではなく、両方の処理を行います。
※『Spawn Pickup Unit to get the Pickup Functionality』
画像内のグループBです。
ここでは『物を持ち上げる為の前準備』を行っています。
①スクリプトデータをチェック
最初は『Branch』ノードが実行されます。
『Branch』ノードは引数として受け取ったbool型の結果によって
TrueかFalseに処理を分岐させるというノードです。
一般的なプログラムにおけるif文であり、
他のビジュアルスクリプティングにおいても同名で使用されているなど
これなしでプログラムは成り立たないほどの基本的なノードです。
今回はTrueなら処理を続け、Falseなら処理が終了する、といった形になっています。
②持ち上げ処理のスポーン
Trueから続く処理は『Spawn Unit on Position』ノードです。
このノードは引数のUnitに指定したユニットをスポーンさせるという処理を行います。
PositionやRotationをセットするとスポーンさせる位置や向きを指定できます。
ここでスポーンしているのは『functionality_pickup』というユニットになります。
このユニットについてはまた後で説明しますが、
簡単に言うと『対象を持ち上げる処理』になります。
スポーンしたユニットに『Set Unit String Data』を使用してユニット変数controller_indexを設定します。
③スポーンしたユニットとリンク
最後に使用するノードは『SteamVR Link Node To Tracker』です。
今回はコントローラではなく、
先ほどスポーンしたfunctionality_pickupとリンクさせています。
つまり、ここでの処理は
『持ち上げる為の処理をスポーンさせ、コントローラの位置にリンクさせる』
という物です。
※『Spawn Teleport Unit to get the Teleport Functionality』
画像内のグループCです。
こちらのグループでは『プレイヤーのテレポート処理の前準備』を行っています。
①~③までの処理は②でスポーンしているユニットが
『functionality_teleport』である以外は全く同じです。
④キー入力の取得
更に下側の処理は『Level Update』によって実行されています。
キー入力を取得しており、前々回でも登場した『SteamVR Touch』を使用しています。
ただし、今回は入力された座標が欲しいわけではないため、使用する返り値は
入力した時/離した時を表すPressed/Releasedのみです。
⑤外部イベントの呼び出し
Pressed/Releasedの両方から、『Unit Flow Event』に繋がっています。
『Unit Flow Event』はユニットが持つ外部イベントを呼び出すノードです。
つまり、
Pressedの場合はfunctionality_teleportが持つ『press_teleport』イベント、
Releasedの場合は同じくfunctionality_teleportが持つ『release_teleport』イベント
へと処理が続きます。
これで、コントローラのユニットフローの処理は一通り見ることができました。。
しかし、今回の調査で新しくfunctionality_pickupとfunctionality_teleportという新しいユニットが出てきました。
次回からはこの2つのユニットフローについて、ご説明していきます。